※背後にご注意+暴力的ともとらえられるシーンがあります。







流れる滝のように梳かされ艶やかな肩ほどまでの漆黒の髪に前髪を眉の上で綺麗に切り揃えた。年のころ13か14といったところか。
唇に真っ赤な紅を引き目じりにも薄っすらと化粧を乗せ、微笑みしなを作り己の体重をこちらへとどっしりかけてきた。
絡むように肩へと回された手をそっと払う。

何か、粗相でもいたしましたでしょうかと瞳を潤ませ様に見上げる少年によくもまあ男ながらに年端もゆかずで末恐ろしきものだ。

小用をすませ部屋に戻るとこの通り中々見目麗しき男子がいた。
やはり少年と言えど、男を抱く趣向は持ち合わせてなどおらぬ故に余計な手配を回したのであろう者の顔が浮かぶ。





私はそんなにも傍にあの少年に執拗であったかな





どうせ気を使うのならばまだ通いの女でも寄せておいてくれればよいものを。
赤絵の季節描かれたおちょこに酒を注ごうとすると、たっぷりと入った酒瓶を持つ指に絡むよう日になど晒されたことなどないほど白く、細く小作りな指を合わせ注がれる。
解いた木綿の切地の間から酒に口寄せながら、絡むようにしなだれかかってくる少年に無言で部屋の出口を指し示す。
いやいやとさもか弱く首を振るが、全く気にもかけず一人酒を飲み続ける。どれほどか呆れたのかすっく、と立つと襖を開け音をパンッと出て行った。通路の箸を曲がったあたりであろうか、壁でも八つ当たりされいるようだ。
夜風吹く格子の窓から外の提灯やら赤く橙の光彩が漏れる。人を値踏みするように歩く人々の足音を止める客引きの呼びに愛想笑いの女の声。
「お気に召されませんで」
「召すも何も私はかのような稚児を抱くような趣味は持ちあわせておらんよ」
とぷとぷと酒瓶を傾け暗がりからの声に答える。馴染みの店に寄る気もせず、どうせ行けばする事はする事になるのだろうからと避け花街の外れの宿を取ったのだがね。
「少々容姿が幼すぎましたかな」
あれでもこの町の近頃売れっ姑でありましたが。
「内に気位の高いようなのも趣味ではない」
寄り添いながらあれは中々に内面扱いにくく、今まで男を手玉に取るのを楽しむ手のくだれだろう。何、所詮男も女も代わらぬか。
先ほどの少年の唇のように紅く塗られた膳の上に瓶と咥えていた器を置くと投げ出していた装束の上着を羽織り立ち上がる。
少し風に当ってくるよ。ああ、そのままにしておいてくれ。
灯り燦燦と揺れ人影たゆたう中へと風を切り避けるように闇の中へと降りた。

夜半の町から香る酒と化粧と喧噪に格子の中で流し目で誘う着飾った女達。キセルから生まれた白い煙の輪をくぐる談笑。引き込むにはまだ早いのだろう、店に店を品定めする人々が行き交う光と鮮やかな暖色の街路。
その街を見下しながら家屋の上を渡ると、不釣合いな僧服の坊主が見えた。

不釣合いと言うのも年も随分と若いのだろう、浮いている。
編み笠を目深に被り肩から小ぶりの荷物を下げ歩くたびに杖の先の金属の輪がぶつかりしゃらんと鳴らす。影を選び人の目を避けるように歩くその足が止められた。
まあまあまあ、こんな場所に坊主がきていいのかえとコロコロと鈴を転がしたように話す少女たちに捕まったようだ。傘の下の顔を伺おうとするのをやんわりと避けている。
おかしそうにエイと傘を奪われた。白い木綿の手ぬぐいで毛髪を押さえた、年若い少年僧と見ていたが。耳近く、茶の鬢の毛が零れている。やや切れ長の瞳に形の良い唇.
おや、まあ。
少女達の呟きとかぶる。まさかこんな名目の場でみつけられるなどとは思いもしなかった。少年はきゃっきゃと冷やかし返すまいとする少女達に困ったように笑いかけ笠を取り戻した。
どうやら、一泊の宿を探しているらしい。気に入られたのか少年の腕を少女二人が取り、やいのやいのと店の奥へと引っ張っていく。
少年は今宵ここに宿をとるのか。
見たところどうせあまり金も持ってはいないことだろう。口添えしてもらい納屋のほうか、空き部屋を安く借りると見た。
ふと、イタズラ心に灯が燈る。
暫くもすれば街も人々も皆いそいそと引きこもる。それまでに、もう少し散策をするのも悪くはない。





襖の前の気配に気づいたのか少年がすばやく振り向く。隠し持っていたらしき苦無を掌にしのばせる。荷を下ろし整理していた周りの空気がチリッと刺さるように張り詰め広がる。
ごめんくださいまし、声がかかり店に招き入れたあの少女が戸を開けた。まだ売りにも出されてもいない新造だろう、青臭さが何とも愛らしい。空気が緩和する。
「お夜食をお持ちいたしましたの」
ニコリと盆の上に握り飯二つと湯気が舞う湯呑を差し出す。
「お心遣い感謝いたします」
ふわりと柔らかく笑うものだ。相手の娘も顔を赤らめお召しになられたら明日、自分が、片づけに参りますえとパタパタと足音をさせ出て行った。入れ違いに覗いたもう一人の少女が抜けがけをと頬を膨らませ追ってゆく。少年が、客を入れる部屋の中でも奥に作られた部屋の配慮をとっても、よほど気に入られていたらしい。
穏やかになった空気の中一つ、握り飯を礼をして頬張る。人の気に敏感であるとこからして学園内の用事での旅路であったのか。察するのは悪くはない、だがやはりまだまだかと少年の頭上で一人ごちた。
一つの握り飯を片付け二つ目に手をかける。具は無く塩と米だけだがあの娘さん達が暇を探し少年に作ったものだろう。
最後までたいらげると指先にまだ米粒がついていた。大人に成りきってはいない、が細かい手作業に適している職人のような手。この手が以前、膿んだ私の体を清めてくれた。
指の米を舌先で丁寧に最後の一粒まで平らげる。その様子を目を細めて眺めていた。



さてどうしたものか、少年が宿を見つけ最近の様子はとこっそり覗くだけのつもりが惜しくなってきた。挨拶でもしてみようか。しかし私ではどう出たところで面倒そうだ。やあ、こんな場所で奇遇だねえなどとかけてみたところで警戒されるだけであろうよ。
そう、何事もないのに誤解などかけられてしまってはと。
ふとした思い付きが浮かぶ。
少年は何故民宿ではなくこのような場所での宿を探していたのか、かのように人の敏感になっていたのであるか。カチリと意図するものが結びつく。
ああいかん、いかんなぁ、よろしくない。だが折角の偶然の逢瀬とどちらにせよやっかいでであるなら楽しまなければならぬまい。


そうとあれば木の葉の落ちる音すらもさせず少年の背後へと降りる。首筋にはらりと髪がたれている。今ここで動脈の一つでも抑え潰せば終わってしまうのはないかな。太く力強く脈打つ血管一つ。見事に美しく紅い雫が見れるだろう。
さてと髪を掴み床に叩きつける。整頓された手荷物と僧服の塊の中から笠を被るための手ぬぐいで視界を素早く奪う。
右足の蹴りが飛んできた。パシンと受け止めるとそのまま手刀が繰り出されるがそれも受け止め、後ろ手に捻り上げる。片手の自由を奪われてもう片方の腕を振り上げてくる。うん、悪くはないが相手が悪かろう。
両腕とも後ろ手に着物の襟を掴み一気に剥ぎながら無理やり一纏めに包み抑える。腕も肩も痛そうだ。

「ご機嫌いかがかな善法寺伊作君」

我ながらずいぶんと楽しそうな声音だ。
「・・・貴方は・・・」
久しぶりだね。私は運命の悪戯か引き合わせではないかとも思っているんだが。少年の心中これ以上にない程やっかいなことだろう。
「そうだ君、もしや文を預かってはいないかね?」
小さくとも息を飲むようなことはしてはいけないなあ。飲むよりも一瞬止まるとしたほうが正しいか。肯定してしまっているようなものじゃあないか。
「危害は加えたくないのだよ正直に話しておくれ」
優しく優しく猫なで声で問う。脅しにも聞こえるかもしれんね。山を当てたつもりだがどんぴしゃりと言ったところか。そうとも知らずに少年の思考は今ぐるぐるとどう逃れるべきかとふる回転に動いている。
夜遅くまで人が行き交い明るい花街。その上で御上も侍も人殺しご法度の街で、泊まることさえ出来ればこれほど都合のよい隠れ場所は無い。しかし、この手を使うには少年は風貌が仇となった。この手であれば馴染みの店を作っておきその為にも馴染みの女を買っておくものだが一見さんの上に泊まれたまでは良かっただろう。気に入られ気を使われた為に人通りもない奥に、隣室にも誰もおらず、刀で首を切り落とし襖や木の柱、天井に飛び散った血しぶきが当たるどころか少しの悲鳴ですら聞こえやしない。考えるに十分過ぎる沈黙が過ぎた。
「それが答えかな」
「・・・真意が、わかりかねませんが」
「じゃあ、勝手に探させてもらおうかな」
「貴方、どこ探ってるんですか!!」
腰ひもを解いて後ろに簡易で巻いていた腕を着物の上からぐるぐるに縛る。直に巻くよりかは痛みも少ないだろう。
「いやあね、私本当に君が持っているものはどうでもいいんだよ」
「・・・」
興味が無いどころか関係など全く無いのだし。
「君の態度次第だと私は言っているんだよ」



身にまとっていた剥がせるものを全て剥ぎ、この手で触れた場所一つ一つが己に染まるようなちょっとした支配感に満たされる。平らで滑らかな胸は想像以上に心地よい。一枚の布越しの瞳は見えないが、悔しそうな唇は閉ざしふさがれ下唇をきつく噛み閉ざしている。
肌蹴させた胸にほどいた包帯の間の唇で口づけてゆく。舌でイタズラにねぶると撫でていた腿がザラリと鳥肌立ち身をよじらせる。抱かれることへの嫌悪を、と言ったものか。
なかなかウブで可愛らしい反応じゃぁないか。
脇腹をなぞり、腹のへこみをたどり徐々に下半身へと移る。薄く茂る中の萎えているもの先に舌先がちょろりと触れる。足が無意識に閉じようとするが既に入り込んだ頭を抱えるような形になってしまう。
「随分と積極的じゃないか」
喉を鳴らし笑うと、自分の取った行動にハッと気づき、離れようとする。その腿を愛おしく撫でながら萎えたものを口に含む。少年の体にびくりと緊張が走るのがわかった。
上下に顔を動かし利き手で付け根をしごく。暴れようとする体を押さえつけ肩の上に足を乗せさせ動けぬように掴んだ。男の体とは、難儀なもので心が望まぬとも健康的であれば幾度も幾度も繰り返される刺激には抗えない作りになっている。時間はかかったが萎えていたものが徐々に起立しだす。
少年の方を見やると額に脂汗を滲ませ、まさしく屈辱を噛みしめているかのようだ。さて何時までその態度が取っていられるものか。
時折根元から先端まで舌で舐め上げくびれを弄り先の吐き出す部分をしつように弄る。反るように力を持ったその先から手に纏わりつくようにねばつきを持った液体が溢れ、ついには口腔内へとどくりと溢れた。
唇を離し糸を引かせながら遠ざかる。紅く色づき横向きに背け、乱れる呼吸を整える端整な顔が見える。やはり全て見えぬのは惜しい。
瞳を覆っていた、布をたくしあげ外すと射精した余韻で虚ろでふせ見がちの瞳が見えた。睫毛が潤み水分を含んでいる。手にした布も湿り気を帯びていた。
帯の紐を抜き自分が身につけていたものを落とすと半立ちしたものが覗いた。べろりと口に出されたものを吐き出し半立ちの自分のものと少年の勢いを落としたそれを重ね合わせこする。脱力し抑えきれないのか、掠れた小さな喘ぎが少年から漏れた。
じゅくじゅくと音をたてさせながら摩りつける。微かに、途切れがちに吐き出される声を抑えようにも手は後ろ手に結ばれているために抑えきれぬようで、くしゃりと歪ませた泣きっつらをさせている。ぞくぞくと背筋に痺れが駆け巡る。もっと、もっと虐してみたい。
固さを持ち、腹につくほどに反り返りだす。一度吐き出したのに若さゆえか。そこでそそり立つ少年の付け根を手で輪を作り。先ほどまで視界を奪っていた手拭いを捩じりきつく戒める。
「んぁっ何、を・・・」
「不本意だろうからね」
また私によって快楽を得、吐き出すなんて。そうだろう。
ドロドロとどちらの垂らしたものかもわからぬ程混ざり濡れた指でこれから受け入れるべき後ろの方へとたどる。
「しかし私は君の意志を常に尊重させるつもりだよ」
望むなら何時でも解いてあげようじゃぁないか。これからの行為を拒否などしやしないだろう。言葉に詰まったように何かを、口に出さず飲み込んだか。乱れ汗で張り付いた髪の間から伺える眼で睨みつけられる。

まずは一本。左右に股を大きく開かされる動作と、強さを取り戻したかの瞳も体内へと侵入する異物感に怖の色濃くをさせる。受け入れまいと押し戻そうとする中へと差し入れてじっくりゆっくりとかき混ぜる。更に指を増やし慣らすように広げ、外へと一度吐き出させた粘つく液体を体内へと戻し潤滑油がわりにさせる。油に比べれば無いよりマシ、程度だろうが。今は余計な痛みを与えるつもりなどはない。
内側を傷つけぬように根気よく、なぞりほぐし続ける。これまで抱いた女でもここまで丹念に慣らしたことなどはないだろうことに気づき自嘲する。次第にやわくはなったものの指で受け入れさせるまでの準備としてはこれが限界か。
力が入り足の丸められた爪先をそっと安心させるように撫でる。ビクッと触るだけで体が更に強張りこれは挿れるにしてもかなりの難儀かもしれない。足を抱え浮かせ、慣らした少年の後肛にへと宛がった。
「少し強引かもしれないが…我慢しておくれ」
繋いでいた糸が切れたように少年が叫ぶ。さすがにこれでは誰かしら駆けつけもしそうだが、それでも誰の耳にも届かぬようで。今頃、他の手前に位置する部屋でも似たような睦言が繰り広げられているだろうが、現に一つもコチラまで漏れはしない。
醜悪とすら言えるような、張り怒張したものを力技と呼べる勢いで埋めさせる。全て収めさせきつく絞るような中を軽く引き、また押し込む。
「ああ・・・あっあ、・・・」
「落ち着いて…ああ、可哀そうに」
腰を折り張り付いた髪をかきあげ、引き寄せるように額に口付けする。
背徳感と少しの哀れみ。それに勝る少年への言い難い支配欲と温もりに満たされる。
少年が叫び声と共に吐き出した酸素を追い求めるかのように唇が動く。見開いた瞳孔が宙を泳ぐ。薄く均等に筋肉のつけられた腰を抱え揺すりあげた。
念入りにしたもののやはり動きにくくはある。それでもゆるゆると少年のものをかきながら段々と先走るものの滑りも加わり抵抗も減り淀みなくなりだした。少年の嗚咽のような声の中にわずか他の色を含む声も交る。
それと同時、その体の中を通らされている、自分の色濃いものと比べまだどこか成長しきっていない少年のそれは押さえつけられたおかげで赤みを越し、色を増していた。抑え込まれたことで熱が余計に苦しさを増すのか。ああ、そうか、これも若さ故かと笑みを浮かべる。
堰き止められた熱とは出さない限りはたまり続けるものだ。排出しなければただただ溜まり燻り続ける。少年が下半身に溜まった熱を持て余しだすのがわかった。
さあ、ここからじゃあないか。
休む暇を与えるべからずとしつように追い詰める。動かすたびに張りつめられた先がふるりと震える。先を濡らす程度に汁が零れるが、その奥に堰き止められたものの何の足しにもならない。それ以上に溜まり続け、体内と少年の強固な自我とを押し流させるよう外に向かわれていた。
整った顔をぐちゃぐちゃに汗と涙が混ざり、泣く顔にドクリと欲が膨らむ。
意地悪く、堰き止め破裂しそうな先端をぐりぐりと潰すと締まりが増し、掠れた悲鳴をあげた。
「君が頼むなら解いてもいいんだがね…」
未だ固く縛られた元へと手を添える。横に引っ張るだけですぐにでも解けることだろう。死にはしない。当初の全うすべき仕事を譲るでもない。ただ、一つ犯しがたかった自尊心を私に寄こすだけだ。
ガクガクと顎を振り解放を乞う。望まないはずの快感に喘ぎ、屈した少年を下に口角を上げニンマリと笑う。彼を所有したような気分に陥る。
そうだ、君は君の意志で抱かれ私に乞い願ったのだから。
しゅるりとほどけた先から濃度の高そうな液体がどくどくと溢れる。熱に浮かされ荒らされた意識が飛ばさせれようとするのが見えた。体に体をぶつけその少年の体を荒らす。聞き取れぬ言葉を紡ぎ耳に入れながら、思いの丈をそそぎ続けた。

疲れ果て意識をついには手放した少年の髪を梳き耳元にこそりと呟く。

「おやすみ、残りの鼠はまかせておきなさい」

軽く身支度を整えさせ身をひるがえす。



縁があればまた逢おう。








言いつけ通りそのままにされた膳と時間が過ぎアルコールの飛んだ酒が置かれた部屋にひらりと戻る。血のにおいを纏わせたせいか私を慕う部下が声をかける。
「気にしなくていい、これだけ頼むよ」
べっとりと赤く重さを増した装束の上を投げ渡す。少年も随分と物騒な頼まれごとをされていたものだ。私がここにいた事は、運が良かったのか悪かったのか。
身に傷を負うことはなかったが、大きく血を浴びてしまうほど手こずるとは。予想以上ではあった。
これで彼への償いではすまないが門も立つだろう。しかしこうもしては折角の少年への酔いも醒めてしまう。
「今日は寝付けないのでね、酒だけ新調しておくれ」
他はいらないよと釘を刺す。くれぐれもだ。夜が明けるまでもう暫くの時間がある。酒の肴を思い浮かべる。

ガランとした橙灯る通りから風が吹く。

もう暫し余韻にひたり夜を明かすとしよう。