ま全身の包帯は黄色い汁が染み込み乾き固まる。 一部、覆いながらも皮膚から剥がれた箇所が衣服と擦れ赤く滲みじゅくじゅく水気を帯び広がり固まったところでまた剥かれ傷口の範囲を拡大させる。 顔の皮膚も爛れ首から肩、胸から腕に鈍痛が全身へと広がりすでに麻痺を起こしていたのは幸いだった。 まだ成人しきっていない優しい手だった。素早く丁寧に私の皮膚がこびりついた布を剥がし、綺麗で清潔な柔らかい綿の包帯へと変えていく。 無骨でもない長い指先の塗るハッカ臭のする化膿止めの軟膏は全身の膿み熟した傷口に素早く溶けた。 累々と重なり転がる屍が生まれる合戦上の中、走り回り人を治癒させていたのだろう彼は少し息があがっていた。 生死危うい火傷と擦り傷に心配そうに労りの言葉をかけてくる声は良い声だった。 発する柔らかそうな喉の白さと肌蹴た着物の合された間から浮き出た鎖骨、そこを伝う汗が目につく。 土ぼこりが絡まった髪の隙間から覗く日焼けをしていないウナジにも土ぼこりが汗と混じざっている。撫でれば柔らかな産毛があるかもしれない。 長く結われた髪を掴みあげればどんな顔をするのか、傷口を真剣に見つめる顔長い睫毛で飾られた少年の真っ直ぐな目の上にある形の良い眉の間は皺が刻まれるかどうか興味を持った。 決して細くはないが筋肉も無駄についていないだろう、腕を回せば腕があまるだろう腰に医療用具を抱え、さぁこれで一安心だと笑みを浮かべ次へと移る彼をその前に、去ってゆく細い足首の健を断ち切れば手元に置くことができるだろうに。 簡単なことだ、筋を切られ歩くこともままならぬようになった所で小脇に抱えた用具箱のようにぶら下げ連れ帰ればいい。 歩くこともままならぬようになり床を這うよう、そんな様子で私の下に敷き例えば必死に穴倉から這い出すように逃げる兎の如く逃げるだろう彼の手首は押さえつけるのに一掴みだ。 純粋に、欲しくなったのだ。 黄色く膿んだ汁で滲んだ代用品の布を優しく剥いたように彼の衣服を優しく剥ぎ、手から指から指先余すことなく全身を指、手のひら、口で堪能しながら。 息が乱れ背がしなり白い首に汗を滴らせるところを組み敷きその様を見下ろせるならば。 言葉には出さず一つ小さく笑った。 しかしまず、少年にまた会った時まず礼を返さねばならぬまい。 |